市田写真館:配布広告「電車内での会話」
箱番号+整理番号
PP292-101
発行主・広告主
市田写真館
旧蔵者
萬年社
内容
その他広告スクラップ
内容日付/文字情報/備考
1912/11/00
「電車内での会話」という読み物型の配布広告
「大正元年十一月」のメモ書きあり
二つ折り 電車内での会話
或日僕が電車で或る所へ行くと丁度自分の前に二人の男が腰を掛て居た。一人は大肥とした好紳士、他の一人は色白の目元に愛嬌ある二十五六の青年、何か頻りに喋って居る。
「僕の子供は今年六つに成るがね誕生日毎に必ず写真を撮るんだ随分楽しみだよ」
「そりゃ面白いな。僕も写真は大好きだが何処でお撮りに成ります」
「道修町の市田写真館さ。写真屋も沢山あるがあの位上手なと処は無いね、機械も良いに違いないが、技士が素的に甘い」
「然うですか、評判には聞いて居ますがそんなに上手ですか」
「上手な許りでない親切で期日を違えるような事は滅多にしない。だからあの繁昌ることを見給え。新郎新婦の記念撮影だけでも毎日五組くらいはあるそうだ」
「僕も是非一度行って見よう。実際写真ほど高尚で無邪気な楽みはありませんからねえ。市田写真館と云うのは東区道修町四丁目でしたね」と云い乍ら青年は熱心に手帳へ書き留めて居た。
二つ折り 電車内での会話
或日僕が電車で或る所へ行くと丁度自分の前に二人の男が腰を掛て居た。一人は大肥とした好紳士、他の一人は色白の目元に愛嬌ある二十五六の青年、何か頻りに喋って居る。
「僕の子供は今年六つに成るがね誕生日毎に必ず写真を撮るんだ随分楽しみだよ」
「そりゃ面白いな。僕も写真は大好きだが何処でお撮りに成ります」
「道修町の市田写真館さ。写真屋も沢山あるがあの位上手なと処は無いね、機械も良いに違いないが、技士が素的に甘い」
「然うですか、評判には聞いて居ますがそんなに上手ですか」
「上手な許りでない親切で期日を違えるような事は滅多にしない。だからあの繁昌ることを見給え。新郎新婦の記念撮影だけでも毎日五組くらいはあるそうだ」
「僕も是非一度行って見よう。実際写真ほど高尚で無邪気な楽みはありませんからねえ。市田写真館と云うのは東区道修町四丁目でしたね」と云い乍ら青年は熱心に手帳へ書き留めて居た。
資料形態
大型古資料
制作者
日本
高さx幅(mm)
126x178
物理媒体/状態
(h126mm)
制作日付
1912-11-00